宗教について 〜 人の生と死を考える 注41

公開: 2023年3月15日

更新: 2023年4月10日

注41. ギリシャ哲学の影響を受けたキリスト教

キリストの言葉を、後世の人々のために新約聖書として書き残したイエス・キリストの弟子たちは、新約聖書をギリシャ語で書きました。それは、当時のローマで話されていたイタリア語は、書き言葉としては不完全で、哲学的な内容を正確に、そして簡潔に書くことができなかったからです。キリストの弟子たちは、ギリシャ語を使えば、それができる人々でした。当時のイタリア語は、今日、ラテン語と呼ばれている言葉ですが、ローマ帝国が成立した後、キケロなどの思想家がギリシャ語からラテン語への翻訳を行うため、ギリシャ語の哲学用語に対するラテン語の訳語が作られ、進歩しました。そして、中世になると、ラテン語を使って哲学的な内容を書けるようになりました。

キリストの弟子たちは、キリストの教えをユダヤ人のヘブライ語や、ローマで話されていたラテン語でなく、ギリシャ語を使って書くことで、哲学者のプラトンやアリストテレスが使った言葉を使って、表現しました。このことから、新約聖書の内容も、ギリシャ思想の影響を強く受けざるを得なかったのです。さらに、説明のための論理的な展開も、古代ギリシャに特有な論理展開を応用することになりました。このことが、キリスト教を普遍的な教えとし、世界のどこでも教えられる宗教にしたと言えます。

参考になる読み物